暫定語意

虚構、創作あるいはフィクションに纏わる話

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」 御伽噺はかくあるべきか

監督 ギレルモ・デル・トロ

出演 サリー・ホーキンスマイケル・シャノンリチャード・ジェンキンスオクタヴィア・スペンサー

 

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 本編を鑑賞したとき、壮絶な違和感に襲われた。というのも「シェイプ・オブ・ウォーター」は、定型的な御伽噺の形式に擬態しながらも、それを容赦なく否定している。ありがちな御伽噺からの脱却を目指していると、そう体感したのである。

 

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映画「シリアスマン」 ユーモアの方程式

監督 ジョージ・コーエン、イーサン・コーエン 他

出演 マイケル・スタールバーグリチャード・カインド、アダム・アーキン 他

 

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 コーエン兄弟の作品は毎度のことながら反応に困る。笑うべきなのか笑わないでおくべきなのか。作中で描かれる不条理はたしかに笑える内容なのだが、しかし理性が「本当に馬鹿にしていいものなのか」とそれを押し留めようとする。

 

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アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」と「火の鳥」

 

とらドラ!」や「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家である岡田麿里の初監督作品。制作はP.A.WORKS

 

 

 

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 「火の鳥 乱世編」を思い出した。
 「火の鳥」は手塚治虫の漫画作品である。複数のストーリーにより成り立つ本編には、共通設定として永遠の命をもつ架空の生き物、火の鳥が登場する。致命的なネタバレになるため避けるが、実はそれ以外にも作品間の繋がりがあったりする。

 

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