暫定語意

虚構、創作あるいはフィクションに纏わる話

映画「偽りなき者」 他人を信じるな。疑うことを疑え

「Hideo Tube(ヒデチュー)」第六回で紹介されていた映画「偽りなき者」の感想記事です。直接的なネタバレは避けていますが、できることなら鑑賞後推奨。

 

 小島監督推しっぷりが尋常ではなかったので、気になって気になってようやく鑑賞。なるほど、万人受けするタイプの映画ではないけれども、あの「ミスト」を越える胸糞っぷり&ラスト二重のどんでん返しは映画ファンならば必見。もちろん、それだけでは終わらないのがこの「偽りなき者」。この問題について一人でも多くの人に考えてもらいたい、と布教の衝動に駆られるそんなタイプの作品。

 

 監督はトマス・ヴィンターベア。主演はマッツ・ミケルセン。ちなみに彼はこの作品でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞したとのこと。

 

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映画「キングコング: 髑髏島の巨神」 弱肉強食では語れない強さ

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 この映画に弱肉強食というフレーズはあまりしっくりこない。神に見放された存在から消えていく、という方向性で観たほうが色々と納得できる内容だと思った。というのも、純粋な強さ比べをさせるならば、コングに知性を備えた闘い方をさせるべきではなかったし、知性まで含めて弱肉強食だと主張するなら、今度は、人間側の振る舞いに疑問が生じてくる。


 怪物たちもひっくるめ、この映画の登場人物たちは、神に見放された者から脱落していく。たしかに、サバイバルにおいて強さという指標は重要だ。しかし、それ以上に運が無ければ生き残れない。本作はその事実を強く意識しているのだと、個人的には感じた。

 

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