監督 湯浅政明
脚本 吉田玲子
内気な少年カイが人魚ルーと知り合い、次第に心を解放していく、そんなお話。
高校生バンドのサクセスストーリーのように見せながら、一方で、思春期な少年と純粋無垢な人魚との心の触れ合いをやってみたり、よくある漁村の揉め事を扱ったと思えば、今度は、民族伝承が紛れもない現実として立ち塞がり村全体を襲ってみたりと、なかなかやりたい放題である。もちろんそれは、物語として一貫性に欠けるという意味ではなく、テンポ良く展開を転がすための工夫に相違ない。事実、それぞれ小出しにしていた諍いは、物語終盤には綺麗さっぱり片付いてしまう。ギャグも丁寧に挟んでくれるし、そういう意味で、本作は観客に優しいエンタメ系映画といえるのかもしれない。
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