暫定語意

虚構、創作あるいはフィクションに纏わる話

映画「ブレードランナー2049」 虚構に生きて死んでいく

監督 ドゥニ・ビルヌーブ
出演 ライアン・ゴズリングハリソン・フォード 他

 

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 一般的に、前作の知名度が高ければ高いほどその続編は作りにくいと言われている。ファンの思い入れが強い作品というのはそれほどに扱い辛いものだ。しかし逆に、その思い入れを利用してやれば、ある一定レベル以上の佳作を生み出すことはできるのかもしれない。あるいは、続編として生まれてしまった悲劇を観客に共感してもらえれば、たとえ前作の壁は越えられずとも、その続編は「良い続編」として後々まで語られるかもしれない。「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー2049」はまさにそんな作品の典型だった。「偽物の子供」としての葛藤、そのテーマはこの映画自体が抱えている呪いなのだから、前作のファンであるならばその過程と結末を見捨ててはおけないはずだ。

 

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映画「散歩する侵略者」 思考の停滞と崩れ落ちる日常

 

監督 黒沢清

出演者 長澤まさみ 松田龍平 長谷川博己 他

 

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 これだけゾワゾワする映画は久しぶりだった。特に宇宙人の描き方については素晴らしいの一言に尽きる。よくもまあ、あれだけ不快なキャラクターに仕上げたものだ。宇宙人たちのキャラ造形もそうだが、あの日常の枠からはみ出さない絶妙な終末観と、日常が侵食されていく不快感はそう簡単に醸し出せるようなものではない。その意味で、本作は「SF」というよりもむしろ「ホラー」に分類できるのかもしれない。

 

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「アイアンマン」の血を継ぐ「スパイダーマン ホームカミング」

監督 ジョン・ワッツ

原作  スタン・リー
出演 トム・ホランドマイケル・キートンジョン・ファヴローロバート・ダウニー・Jrグウィネス・パルトロー

 

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 想像以上に「アイアンマン」の映画だった。単純にトニー・スタークやパワードスーツの登場回数が多かったというのもあるが、それ以上に、テクノロジーと人の関わりについて多く言及している。パワードスーツの開発を通じて科学技術と人の在り方を問い直してきた「アイアンマン」シリーズの伝統を引き継いでいるのだ。ゆえに本作はそれらの続編として鑑賞しても大いに楽しめるだろう。

 

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