暫定語意

虚構、創作あるいはフィクションに纏わる話

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」 御伽噺はかくあるべきか

監督 ギレルモ・デル・トロ 出演 サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサー 他 本編を鑑賞したとき、壮絶な違和感に襲われた。というのも「シェイプ・オブ・ウォーター」は、定型的な御伽噺の形式に擬態…

映画「シリアスマン」 ユーモアの方程式

監督 ジョージ・コーエン、イーサン・コーエン 他 出演 マイケル・スタールバーグ、リチャード・カインド、アダム・アーキン 他 コーエン兄弟の作品は毎度のことながら反応に困る。笑うべきなのか笑わないでおくべきなのか。作中で描かれる不条理はたしかに…

【告知】第二六回文学フリマ東京に出店します

突然ですが告知です。 第二六回文学フリマ東京でオリジナルの自作小説を頒布します。 O.B.Clock vol.1に寄稿しました。作品タイトルは「フエゴの楽園」です。 ============================================== 日付:5月6日(日) 開催時間:11:00~17:00 …

ゲーム「はーとふる彼氏」 攻略対象となる鳥類の生態

「はーとふる彼氏」をプレイした。本作の登場人物たちは主人公除いて全員鳥である。キャラクターごとの特色は概ね掴めたが、画面全体が鳩に埋め尽くされると、どうにも混乱してしまう。二周目のプレイに臨むため、鳩の種類について調べた内容をメモとして残…

アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」と「火の鳥」

「とらドラ!」や「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家である岡田麿里の初監督作品。制作はP.A.WORKS 「火の鳥 乱世編」を思い出した。 「火の鳥」は手塚治虫の漫画作品である。複数のストーリーにより成り立つ本編には、共通設定として永…

ゲーム「Firewatch」 山火事の中の真実、外界の現実

Campo Santo開発のPS4向けアクションアドベンチャーゲーム。ネタバレ注意。 主人公のヘンリーは、とあるバーで大学教授のジュリアと出会う。二人は交際を始め、やがて結婚。幸福な日々を送っていた。そんな生活が続いたある日、ジュリアは病に伏してしまう。…

映画「複製された男」 顕在化する欲望 

原作 ジョゼ・サラマーゴ監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ出演 ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン 他 大学で講師を務めるアダムはある日、自分と瓜二つの外見をした映画俳優を目撃する。役者の名前はアンソニー。知的好奇心からアダムはアン…

映画「ゴッホ 最後の手紙」 狂気と優しさの筆跡

監督 ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン 出演 ダグラス・ブース、ジェローム・フリン 他 芸術家というのはよく奇人・変人を指し示す言葉として用いられる。万能人とまで呼ばれたレオナルド・ダ・ビンチや、パフォーマンスとして奇人を演じたサルバトー…

アニメ「Devilman Crybaby」 デビルマンが抱える矛盾とは

Netflix配信のWebアニメーション作品。原作は永井豪。監督は湯浅政明。原作は未見。本編のネタバレ含む感想です。 「デビルマン」を知らない世代にとって、そのタイトルから連想されるのはヒーローものの作品群である。世界的に有名なのはDCコミックスの「ス…

性格類語辞典[ポジティブ編][ネガティブ編] 創作のオトモに

「幽遊白書」や「HUNTER×HUNTER」の作者で知られる漫画家の富樫義博氏が以前、このような言葉を残して話題を攫ったことがある。 漫画家のステップとして応募した人へ:話の勉強をしてください。苦労するのが嫌なら凄いキャラを作ってそいつが動くのに任せて…

一周年おめでとうキャンペーン

ブログを更新し始めて丁度、一年が経過した。節目なので内省的に内政的なことをやろうと思う。内政的とはいっても、内閣改造じみた大袈裟なことをやるつもりはない。過去記事を振り返りながら暗中模索するだけである。無論、フィクション縛りという当ブログ…

映画「スリー・ビルボード」 その炎は誰を焼く

監督 マーティン・マクドナー出演 フランシス・マクドーマンド、ウッディ・ハレルソン、サム・ロックウェル よく晴れた休日の午後、気分転換にあなたはドライブへ出掛ける。お気に入りのバンドのCDをオーディオにセットし、缶コーヒーを啜りながら自慢の愛車…

映画「キングスマン」 礼儀知らずを屠る礼節

監督 マシュー・ボーンキャスト コリン・ファース タロン・エガートン 他 娯楽作品と割り切って鑑賞すれば傑作。真面目に観察してしまうと理解に窮する作品。最後の試練や花火のシーンなど、ツッコミを入れたくなる気持ちは痛いほどわかる。わかるのだが、そ…

映画「ブレードランナー2049」 虚構に生きて死んでいく

監督 ドゥニ・ビルヌーブ出演 ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード 他 一般的に、前作の知名度が高ければ高いほどその続編は作りにくいと言われている。ファンの思い入れが強い作品というのはそれほどに扱い辛いものだ。しかし逆に、その思い入れを利…

映画「散歩する侵略者」 思考の停滞と崩れ落ちる日常

監督 黒沢清 出演者 長澤まさみ 松田龍平 長谷川博己 他 これだけゾワゾワする映画は久しぶりだった。特に宇宙人の描き方については素晴らしいの一言に尽きる。よくもまあ、あれだけ不快なキャラクターに仕上げたものだ。宇宙人たちのキャラ造形もそうだが、…

「アイアンマン」の血を継ぐ「スパイダーマン ホームカミング」

監督 ジョン・ワッツ 原作 スタン・リー出演 トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ロバート・ダウニー・Jr 、グウィネス・パルトロー 想像以上に「アイアンマン」の映画だった。単純にトニー・スタークやパワードスーツの登場回数が多…

映画「ファーゴ」 冗談では済まなくなった冗談

監督 ジョエル・コーエン脚本 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン出演 フランシス・マクドーマンド、ウィリアム・H・メイシー、スティーヴ・ブシェミ、ピーター・ストーメア 他 「冗談が冗談にならない」そんな状況に人は誰しも巡り会う。悪意の塊のよ…

ゲーム「うたわれるもの 二人の白皇」 偽装と継承の軌跡

「うたわれるもの 二人の白皇」を中心にしたシリーズ全体のレビュー。「うたわれるもの 偽りの仮面」「うたわれるもの 散りゆく者への子守唄」「うたわれるもの 二人の白皇」の計三作品のネタバレを含むので注意。

映画「ハクソー・リッジ」 信念を以て戦場を制す

監督 メル・ギブソン 出演 アンドリュー・ガーフィールド、ヴィンス・ヴォーン、サム・ワーシントン他 www.youtube.com キリスト教と戦争の関係性について、次のようなことを考えたことはないだろうか。 「聖書では人殺しを禁止しているのに、なぜ戦争は許容…

映画「メアリと魔女の花」 職人として生きていく覚悟 

スタジオポノックの第一回長編作品。監督は元スタジオジブリの米林宏昌。 「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などのジブリ作品をモチーフにしながら、スタジオポノックはそれらを…

ゲーム『バイオショック インフィニット』 解説と考察

主人公ブッカー・デュイットは元軍人である。十六歳のとき、彼は第七騎兵隊員としてウンデット・ニーの虐殺に参加した。原住民のインディアンの顔を剥ぎ、その野営地に火を放つうちに、ブッカーは大量殺人に対して快楽を見出していく己の姿を自覚する。内に…

ゲーム『バイオショック』 解説と考察

2016年、2Kによってリリースされた「バイオショック コレクション」。今回はその中でも初代「バイオショック」を紹介したい。攻略情報ではなくストーリー解説がメインになるので未プレイの人はネタバレ注意。

小説『何者』 自己分析のその先で躓く就活生たち

朝井リョウの原作と、三浦大輔の映画を観ての感想。 小説が苦手という人や、感受性が高すぎて精神的ダメージを受けやすい人は映画から観た方がいいかもしれない。ジャンルの構造上仕方ないところはあるが、基本的には原作のほうが心理描写が読みやすいのでそ…

映画「パトリオット・デイ」 当事者と外野の温度差

監督 ピーター・バーグ キャスト マーク・ウォールバーグ、ケビン・ベーコン 他 www.youtube.com 日本から遙か約一万㎞、太平洋を越えた彼方の地で発生したテロリズムを我々日本人はどのように認識できるか。突き放すような他人行儀で冷たい物言いであること…

映画「夜明け告げるルーのうた」 解説と考察

監督 湯浅政明 脚本 吉田玲子 www.youtube.com 内気な少年カイが人魚ルーと知り合い、次第に心を解放していく、そんなお話。 高校生バンドのサクセスストーリーのように見せながら、一方で、思春期な少年と純粋無垢な人魚との心の触れ合いをやってみたり、よ…

映画『ノー・エスケープ 自由への国境』 解説と考察 

監督はホナス・キュアロン。キャストは、ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガン他。原題は「No Escape www.youtube.com 本編開始から僅か数十分足らずで、物語は大きく動き出す。 アメリカ合衆国への不法入国を試みるメキシコ人集団が…

アニメ「四畳半神話体系」をひたすら褒めちぎるだけ

フジテレビオンデマンドで無料配信中のアニメ「四畳半神話体系」の感想っぽい何か。 lunouta.com 5月12日までなので観てない人は急ぐべし。あと同監督の「ピンポン」も無料配信してるらしい。こちらも要チェック。

実写版「攻殻機動隊」を奇妙だと感じるワケ

ghostshell.jp 自分探しの旅に出た家出少女が、自分探しの無意味さに気付き、国家警察所属の全身サイボーグ人間になって、母親の待つ家に帰宅する話。

映画「偽りなき者」 他人を信じるな。疑うことを疑え

※「Hideo Tube(ヒデチュー)」第六回で紹介されていた映画「偽りなき者」の感想記事です。直接的なネタバレは避けていますが、できることなら鑑賞後推奨。 小島監督の推しっぷりが尋常ではなかったので、気になって気になってようやく鑑賞。なるほど、万人…

映画「キングコング: 髑髏島の巨神」 弱肉強食では語れない強さ

wwws.warnerbros.co.jp この映画に弱肉強食というフレーズはあまりしっくりこない。神に見放された存在から消えていく、という方向性で観たほうが色々と納得できる内容だと思った。というのも、純粋な強さ比べをさせるならば、コングに知性を備えた闘い方を…